【伊香保 観光】夢二が生きた時代へ──三つの館を巡る、竹久夢二伊香保記念館のアートなひととき

伊香保のホットでほっとする情報をお届けする、「伊香ほっと」。今回は、編集部がぜひご紹介したい“アートな伊香保時間”のお話です。訪れたのは、竹久夢二の世界がまるごと息づく「竹久夢二伊香保記念館」。本館「大正ロマンの館」「黒船館」、そして新館「義山楼」の三つの空間をめぐると、まるで夢二が生きたあの時代にタイムスリップしたかのような気持ちになります。展示を見るだけでなく、当時のインテリアや書物に囲まれて夢二の時代を体ごと感じるような体験ができるのも、この場所ならでは。そんな記念館の魅力を、たっぷりとお届けします。

本館「大正ロマンの館」「黒船館」

大正ロマンの薫り漂う、夢二の世界へようこそ

榛名山の麓、伊香保温泉の地に佇む「竹久夢二伊香保記念館」。
ここはまさに、大正ロマンの薫りに包まれた空間です。

館長はこう語ります。
「夢二の絵は、夢二の詩は、夢二のロマンは、人の胸の奥にある『魂という楽器』の名演奏者です。」
その言葉のとおり、館内には彼の著書や詩集、絵画、装幀、生活美術、商業美術、楽譜、スケッチなど、夢二の多彩な芸術がメロディーのように響いています。

館内は一冊の美しい画集のよう

記念館を構成するのは、本館「大正ロマンの館」「夢二黒船館」、そして新館「義山楼」。
三つの館をめぐる時間は、一冊の美しい画集をページごとにめくっていくようなひとときです。

「榛名山賦」「青山河」などの美人画は、柔らかな光に照らされ、静かに心に語りかけてきます。
夢二が日々の中で愛した小物や日用品、詩や装幀に至るまで、暮らしに宿る芸術にふれることができます。

アンティーク調のインテリアもこの空間の魅力のひとつ。絵画だけでなく、夢二の詩集やスケッチ、そして彼が理想とした“生活と美術を結ぶ”という想いを形にした品々も展示されており、彼の豊かな感性の一端に触れることができます。日用品も、夢二のモダンな図案で美しく豊かに彩られます。

夢二が生きた時代へタイムスリップ

1906~1936年に製造されたアメリカの「ハンデルランプ」は、内側の絵柄がほのかな光で浮かび上がり、幻想的な空気を生み出します。
「生活の中に夢二があったら」というコンセプトで演出された空間では、夢二の作品が自然に飾られ、まるで彼がそこに暮らしていたかのよう。

夢二の浴衣を着る、温泉むすめの伊香保葉凪ちゃん

館内には「温泉むすめ」伊香保葉凪ちゃんのパネルも。彼女が着ている浴衣の柄は夢二のデザインです。

一年に一度の公開「黒船屋」

そして、代表作のひとつ「黒船屋」は、夢二の誕生日前後の2週間という限られた期間だけ特別公開。
出会えたら、それは運命かもしれません。
(※写真は常時展示されているレプリカ)

夢二ホールでは、100年以上前のアンティークオルゴールの演奏も。
アメリカやヨーロッパで作られたその音色はどこか懐かしく、心を癒してくれます。
教会の長椅子に腰かけ、窓の外の自然を眺めながら、静かに夢二の世界に浸る時間――
それは、まさに「夢二の庭」で過ごす、贅沢なひとときです。

新館「義山楼」で出会う、夢二が活躍した時代の光

「義山楼(ぎやまんろう)」は、夢二が活躍した明治・大正期に実際に使われていたアンティークガラスの美しさと、その空気感を五感で味わえる新館です。学芸員さんのご案内と共に大正ロマンの世界に酔いしれました。とても丁寧にご説明いただき贅沢な時間でした。(ありがとうございます!)入口には、ゆがみのあるガラスの扉や、竹をモチーフにしたステンドグラス、音符柄のガラス装飾などが並びます。
当時の技術では、まっすぐなガラスを作ることは難しかったと言いますが、
そのゆらぎがかえって優しい風合いを生み出しています。照明にも注目。ヘルメット型の三層ランプは、透明・白・色の順に重なっていて、切子の模様が壁や天井にほんのりと色を映します。

襖には、夢二と同時代を生きた日本画家・木島櫻谷による老松と若竹。その先には、自然光に照らされた色とりどりのガラスたちがずらりと並びます。 コップや器、サイコロ、キセル、インク壺、かき氷の器、果物皿――
手づくりのためすべてが一点もの。
夢二の作品にもよく登場するような、当時の生活道具に囲まれた空間で、まるで「暮らしにふれる美術館」のようです。 毎時00分には、スタッフによる案内ツアーも行われています。
本館で40分ごろからオルゴール演奏を楽しみ、映像やピアノ展示を見てから義山楼を訪れる流れがスムーズです。詳細は公式サイトにてご確認ください。

夢二の庭で、時を忘れるひととき

新館「義山楼」を包む日本庭園もまた、記念館の大きな魅力のひとつです。
風にそよぐ木々、石畳、小径の静けさ――
夢二の絵に描かれた世界をそのまま現実にしたような、やさしく穏やかな空間が広がっています。庭を歩いていると、ひときわ目を引くのが、西之屋灯籠。
この石灯籠は、京都の石工・西村金造氏によるもの。石の質感や形、佇まいまでもが静かに時代の空気を伝え、庭全体に格調と奥行きを添えています。さらに庭の一角には、小さな茶室も。ここでは夢二の月命日である毎月1日にお茶会が開かれる予定です(詳しくはHPをご覧下さい)。
季節の風と静けさの中で味わうお茶は、心の奥にまで沁みわたる時間になることでしょう。
浴衣をまとって、温泉の余韻を感じながら、夢二の世界にそっと身をゆだねる――
そんな贅沢なひとときが、この庭には流れています。

施設情報
■〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保544-119
■TEL:0279-72-4788
■駐車場:普通車80台
■入館料:
・普通券 大人1,800円
(本館・大正ロマンの館・黒船館(オルゴール演奏)
・共通券 大人2,200円
(上記と新館 義山楼 1階)
※新館は毎時00分~のご案内制/30分程度
(最初のご案内10:00~ 詳しくはHPをご確認ください)
※中学生以下 無料(保護者同伴の場合)
■開館時間: 9:00〜17:00
■休館日:年中無休(メンテナンス等による臨時休館あり)
■アクセス:伊香保温泉街より徒歩で13分
関越自動車道「渋川・伊香保I.C」から車で18分
バス停「見晴下」下車徒歩1分
◼️HP:https://yumeji.or.jp

まとめ

伊香保のホットでほっとする情報をお届けする「伊香ほっと」。
今回は、竹久夢二伊香保記念館の三つの館と義山楼の庭園をご紹介しました。夢二の作品にふれ、ガラスに見惚れ、静かな庭で過ごす時間は、まるで時代の記憶の中を歩くような、やさしくも贅沢な旅でした。
伊香保の温泉街に訪れた際には、ぜひ竹久夢二伊香保記念館に足を運び、夢二の世界にゆっくりと浸る時間を楽しんでみてください。


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・伊香保で目指せインテリ系!? 伊香保人に聞いた伊香保の有名人。
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・伊香保でアートにふれよう! ハラミュージアムアークに行ってみた。
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