
伊香保のホットでほっとする情報をお届けする伊香ほっとが、5年の時を経て帰ってきました(パチパチ〜)! 記念すべき復活第一弾は、文豪の薫りが漂う伊香保で、日常を忘れ芸術に浸る「文学館巡り」をご案内します。明治から昭和にかけて活躍した文豪たちの作品に触れ、彼らの過ごした時代へ想いを馳せました。ホットな文学館を求めて、伊香ほっと探しスタートです。
過去の芸術に関する記事
・伊香保で目指せインテリ系!? 伊香保人に聞いた伊香保の有名人。
https://www.tenbo.com/ikahot/ikahot/ikahotto_yuumeijin/
・伊香保でアートにふれよう! ハラミュージアムアークに行ってみた。
https://www.tenbo.com/ikahot/ikahot/haramuseum/
文学館巡りスポット 目次
- 徳冨蘆花(ろか)記念文学館
- 伊香保文学館
- 竹久夢二伊香保記念館
徳冨蘆花(ろか)記念文学館
伊香保の自然を愛し、数々の名作を生み出した文豪徳冨蘆花
明治を代表する文豪、徳冨蘆花。その文学の世界を深く探求できるのが、「徳冨蘆花記念文学館」。伊香保石段街を散策の途中に、気軽に立ち寄れる文学館です。
蘆花は、美しい自然と温泉に恵まれた伊香保をこよなく愛し、数々の作品を生み出しました。代表作「不如帰」は、まさにこの伊香保を舞台にした小説です。徳冨蘆花記念文学館では、そんな蘆花の生涯と作品世界を、貴重な資料などを通じて、多角的に紹介しています。館内には、蘆花の書簡や写真、愛用の品々が展示されており、一つ一つに、彼の魂が宿っているように感じられます。
竹久夢二との交流と芸術の融合
蘆花の妻・愛子夫人が竹久夢二に依頼して制作した「不如帰」の絵葉書も展示されています。これは、蘆花と夢二の深い友情の証であり、二人の芸術が融合した貴重な作品です。夢二の繊細なタッチで描かれた伊香保の風景は、蘆花の文学世界と見事に調和し、単なる一枚の絵ではなく、二人の文人が築き上げた友情と、大正時代の文化的な交流を物語る貴重な資料と言えるでしょう。
時が止まったかのような、蘆花記念会館は一見の価値あり
蘆花が晩年を過ごした旅館(千明仁泉亭 ちぎらじんせんてい)の離れを移築復元した記念会館は必見です。蘆花の終焉の間がそのまま残り、まるで時が止まったかのような静寂に包まれています。
窓の外には、蘆花が愛した伊香保の風景が広がり、彼の文学世界へと誘います。蘆花の創作活動に思いを馳せることができます。
浴室はもちろん黄金の湯だったのかなぁ。
様々な企画展も開催されており、この日は「絵双六とお伽ばなし」が。訪れるたびに新たな発見があります。館内には読書スペースや、なんと無料ドリンクコーナーもあるので、徳冨蘆花に想いを馳せながらひと休みするのにピッタリ。
蘆花が愛した伊香保の風景
文学館周辺には、蘆花が愛した伊香保の自然や温泉を楽しめるスポットがたくさんあります。文学館を訪れた後は、伊香保の街を散策し、蘆花が愛した風景を自分の目で確かめてみるのもおすすめです。
明治10年頃の石段街。
徳冨蘆花(ろか)記念文学館について
施設情報
■〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保614-8
■TEL:0279-72-2237
■駐車場:普通車70台、大型バス5台
■入館料:大人350円、小・中・高校生200円
■開館時間: 8:30〜17:00(入館は16:30まで)
■休館日:金曜日、年末年始(12月29日〜翌1月3日)
■アクセス:伊香保温泉街より徒歩で3分
関越自動車道「渋川・伊香保I.C」から車で20分
◼️HP:https://www.city.shibukawa.lg.jp/kosodate/shougaigakushuu/bungakukan/p000148.html
伊香保文学館(伊香保温泉ホテル天坊 館内)
文学の宝庫 伊香保文学館
2024年11月、静かにその扉を開いた伊香保文学館は、文学ファンにとってはまさに聖地と言えるでしょう。館内には、明治、大正、昭和を代表する作家たちの貴重な初版本や書簡がずらりと並び、まるでタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。
日本の近代文学を彩った巨匠たち、直筆の原稿や書簡が語る人間ドラマ
太宰治、三島由紀夫といった誰もが知る巨匠の作品はもちろん、群馬ゆかりの萩原朔太郎、山村暮鳥、そして伊香保を深く愛した徳冨蘆花といった作家たちの作品も数多く展示されています。単に本が並んでいるだけではなく、作家たちの貴重な書簡や直筆の原稿から、作家の息遣いが聞こえてくるかのようです。
![]() |
![]() |
一人の人間としての彼らを感じられる
館内を彩る大型の写真パネル。時代を映した写真家「林忠彦」の文豪たちの日常を切り取った写真の数々は、まるでタイムマシンに乗ったかのように、私たちを彼らの世界へ連れて行ってくれます。特に印象的なのは、入ってすぐ目に飛び込んでくる、銀座・ルパンで過ごす太宰治の写真。興味深いことに、館内には、同じポーズをとった織田作之助の写真も展示されており、二人の文豪の交流を垣間見ることができます。これらの写真を見ることで、私たちは単なる作家としての彼らではなく、一人の人間としての彼らに近づけるのです。
明治・大正・昭和 ― 時代を超えて響く言葉たち
明治の自然主義文学、大正ロマン、昭和のモダニズムなど、それぞれの時代を代表する文学作品に触れることで、日本の近代文学史を深く理解することができます。また、同じ時代を生きた作家たちの作品を比較することで、文学の多様性や奥深さを味わうことができます。
温泉あがりや夕飯後に、文学で心を、温泉で身体を満たす
伊香保文学館はホテル天坊の館内にあります。宿泊者は入館料無料。また8〜21時まで開館しているので、早朝や、温泉あがり、夕飯後にふらりと立ち寄ることもできます。こども図書室にはワンピースやドラえもんなどの漫画もあり家族で楽しめます。伊香保文学館で文学へのはじめの一歩を踏み出してみませんか。
作品展示一覧
明治文学 | 大正文学 | 大正・昭和文学 | 群馬の文学 |
泉鏡花 | 谷崎潤一郎 | 井伏鱒二 | 萩原朔太郎 |
島崎藤村 | 竹久夢二 | 川端康成 | 萩原恭次郎 |
夏目漱石 | 斎藤茂吉 | 梶井基次郎 | 山村暮鳥 |
森鴎外 | 室生犀星 | 堀辰雄 | 大手拓次 |
国木田独歩 | 内田百閒 ほか | 伊東静雄 | 田山花袋 |
尾崎紅葉 | 太宰治 | 湯浅半月 | |
上田敏 | 三島由紀夫 | 徳冨蘆花 | |
北原白秋 ほか | 織田作之助 | 吉野秀雄 | |
村上春樹 ほか | 坂口安吾 ほか |
伊香保文学館について
■〒377-0195 群馬県渋川市伊香保町伊香保396-20(ホテル天坊館内)
■TEL:0279-72-3880
■駐車場:普通車500台、大型バス50台(ホテル天坊の駐車場)
■入館料:500円(ホテル天坊宿泊者は無料)
■開館時間: 8:00〜21:00
■休館日:ホテル天坊の休館日に準ずる
■アクセス:伊香保温泉街より徒歩で13分
関越自動車道「渋川・伊香保I.C」から車で18分
◼️HP:https://www.tenbo.com/ikaho-bungakukan/
竹久夢二伊香保記念館
大正ロマンの薫り漂う、夢二の世界へ
榛名山の麓、伊香保温泉の地に佇む竹久夢二伊香保記念館は、まさに大正ロマンの薫り漂う場所です。
館長は「夢二の絵は、夢二の詩は、夢二のロマンは、人の胸の奥にある『魂という楽器』の名演奏者です。」と述べますが、その言葉通り、館内は彼の著書、絵画、生活美術、商業美術、挿絵、装幀、楽譜と、夢二の芸術が奏でるメロディーに満ち溢れています。
館内は一冊の美しい画集のよう
本館「大正ロマンの館・夢二黒船館」をはじめ、新館「義山楼」など、館内は、一冊の美しい画集をめくるような感覚で散策できます。「黒船屋」、「榛名山賦」、「青山河」など、夢二の代表的な美人画が、柔らかな光に照らされ、鑑賞者の心を魅了します。
絵画だけでなく、夢二の詩集やスケッチ、そして彼が理想とした“生活と美術を結ぶ”という想いを形にした品々も展示されており、彼の豊かな感性の一端に触れることができます。当時の人々の日用品は、夢二のモダンな図案で美しく豊かに彩られていたことがわかります。
夢二が生きた時代へタイムスリップ
館内の魅力であるアンティーク調のインテリアは、彼が生きた時代のもの。1906年から1936年の間だけ製造されたアメリカのハンデルランプは、内側に描かれた絵が、柔らかな光に照らされて浮かび上がり、幻想的な雰囲気を醸し出しています。また、「生活の中に夢二があったら」そのコンセプトで夢二の作品が飾られているシェルフやテーブル、部屋もあり、夢二が生きた時代へタイムスリップしたような感覚を味わえます。
夢二の浴衣を着る、温泉むすめの伊香保葉凪ちゃん
館内には、温泉むすめの伊香保葉凪ちゃん(日本全国の温泉をモチーフにしたキャラクター)のパネルが展示してあります。葉凪ちゃんの浴衣の絵柄は夢二作。館内で見つけてみてくださいね。
一年に一度の公開「黒船屋」
竹久夢二が描いた代表作の一つ「黒船屋」は、一年に一度、夢二の誕生日前後2週間という限られた期間だけ公開しています。(※写真は常設展示されているレプリカ)
夢二ホールでは、約100〜140年前の、アメリカ、ドイツ、スイスのアンティークオルゴールの演奏を楽しむことができます。教会の長椅子に座りながら、どこか懐かしい音色が来館者の心を癒やしてくれます。ピアノの奏者がいる時はラッキー。こちらも約100年前のピアノで、生演奏を楽しむことができます。
竹久夢二伊香保記念館で、夢二の世界観を五感で体験してみませんか。
竹久夢二伊香保記念館について
■〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保544-119
■TEL:0279-72-4788
■駐車場:普通車80台
■入館料:大人1,800円、中学生以下 無料(保護者同伴の場合)
■開館時間: 9:00〜17:00
■休館日:年中無休(メンテナンス等による臨時休館あり)
■アクセス:伊香保温泉街より徒歩で13分
関越自動車道「渋川・伊香保I.C」から車で18分
◼️HP:https://yumeji.or.jp
まとめ
伊香保のホットでほっとする情報をお届けする伊香ほっと。今回は伊香保の文学館を巡ってみました。それぞれの館で個性豊かな文学に触れることができます。徳冨蘆花記念文学館で彼の文学世界に没入したり、伊香保文学館で巨匠たちの作品に心を揺さぶられたり、竹久夢二伊香保記念館で大正ロマンを五感で感じたり。伊香保を歩けば、そこかしこに歴史と文化が息づいています。今回ご紹介した文学館はどれも石段街から徒歩圏内。一日かけて三館を巡るもよし、気に入った一館でじっくりと文学の世界に浸るもよし。伊香保の温泉街でランチやカフェを楽しんだ後、文学館を訪れ、心ゆくまで文学に耽る。そんな優雅な一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。